蚊が媒介する感染症にご注意ください!
県内で7年ぶりの「日本脳炎」患者が確認されました(R5.10.30)
県内の医療機関に入院している高齢者について、抗体検査の結果、日本脳炎に感染していることが判明しました。県内で蚊に刺されたことによる感染と推定されています。
日本脳炎とは
日本脳炎ウイルスにより発生する疾病で、蚊を介して感染します。感染しても発症するのは100~1,000人に1人とされており、多くは無症状で終わります。しかし発症した場合は、高熱、頭痛、嘔吐などの症状の後に意識障害や麻痺等の神経系の障害を引き起こし、後遺症を残すことや死に至ることもあります。
感染経路
ウイルスを保有するブタから吸血した蚊(コガタアカイエカ)がヒトを刺すことで感染します。ヒトからヒトへは感染しません。
媒介となるコガタアカイエカは主に水田等で発生し、日没後に活動が活発になります。静岡県ではブタの日本脳炎抗体保有状況を調査しており、令和5年8月下旬以降の調査では、ブタ40頭のうち19頭に抗体が認められています。
治療
特異的な根治療法はなく、対症療法を行います。発症者の死亡率は20~40%で、特に小児や高齢者で死亡の危険性が高くなります。
予防
蚊に刺されないための対策と、予防接種が感染予防の中心となります。特に小児※(生後6か月~7歳5か月のお子様 及び 9~12歳のお子様)は定期予防接種の対象となるため、蚊が発生するシーズンまでに、お早めの接種をご検討ください。(お子様の定期予防接種についてはこちら)
※ 平成15~18年度生まれで20歳未満の方は、特例で4回の接種のうち不足分を定期予防接種として受けられます。
都道府県別のブタの抗体保有状況調査について
感染症の流行を予測するために、厚生労働省、国立感染症研究所、都道府県・都道府県衛生研究所等が協力して各都道府県のブタの日本脳炎ウイルス抗体保有状況を調査しており、2023年10月時点の最新の調査結果は以下のとおりとなっています。
調査の最新情報は、国立感染症研究所 感染症疫学センターのページをご覧ください。
蚊媒介感染症
ウイルスや原虫等の病原体を持った蚊が、ヒトを吸血することで感染する感染症全般を蚊媒介感染症と呼びます。
主な蚊媒介感染症には、ウイルス疾患であるデング熱、日本脳炎、ウエストナイル熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱、原虫疾患であるマラリアなどがあります。これらの感染症は主に熱帯、亜熱帯地域で流行しています。
日本においては、日本脳炎以外の蚊媒介感染症は海外からの輸入感染症としてみられていますが、デング熱に関しては2014年に国内感染例が報告されました。
主な蚊媒介感染症の一覧
疾患名 |
媒介蚊 (感染経路) |
発生地域 |
主な症状 |
備考 |
---|---|---|---|---|
デング熱 | ヒトスジシマカ など(人→蚊→人) | 東南アジア、南アジア、中南米、カリブ海諸国 |
発熱、頭痛、眼窩痛、筋肉痛、関節痛(2~15日) |
平成26年に国内感染例発生。 非致死性の熱性疾患であるデング熱と、重症型のデング出血熱やデングショック症候群の2つの病態あり。 |
日本脳炎 | コガタアカイエカ(豚→蚊→人) | 日本、中国、東南アジア、南アジア | 発熱、頭痛、吐き気、嘔吐、めまい、意識障害(6~16日) | 感染しても発病するのは100~1,000人に1人程度であり、大多数は無症状に終わるが、発症した場合の死亡率は20~40%となる。 |
マラリア | ハマダラカ (人→蚊→人) |
東南アジア、アフリカ、中南米 | 発熱、悪寒、倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛(7~40日) | ハマダラカの国内人口密集地域での生息はない。 数ある種類の中でもっとも危険なものが熱帯熱マラリアで、治療が遅れると死に至ることがある。 |
ウエストナイル熱 | アカイエカなど(鳥→蚊→人) | アフリカ、ヨーロッパ、中東、アジア、アメリカ など | 発熱、頭痛、筋肉痛、筋力低下、食欲不振、発疹(2~6日) | 国内での感染例は認められていないが、ヨーロッパなど西半球に1990年代中頃から流行。 |
ジカウイルス感染症 | ヒトスジシマカ など(人→蚊→人) | 中南米、カリブ海諸国、オセアニア太平洋諸国 など | 発熱、頭痛、関節痛、斑丘疹、結膜炎、倦怠感 など(2~12日) | 平成27年から中南米を中心に流行。国内での感染例は認められていない。 |
チクングニア熱 | ヒトスジシマカ など(人→蚊→人) | アフリカ、南アジア、東南アジア など | 急性の発熱と関節痛、発疹(3~12日) | 国内での感染、流行はないが、海外で感染した輸入症例あり。 |
静岡県では、感染症媒介蚊の定点モニタリングを定期的に行っています。詳しくはこちら
それぞれの感染症についての詳細は厚労省ホームページへ
蚊媒介感染症の対策
蚊媒介感染症はヒトからヒトへ感染することはなく、病原体を保有する蚊に刺されることで感染します。そのため「蚊を発生させない対策」「蚊に刺されない対策」を心がけましょう。
蚊を発生させない対策
- 蚊は、タイヤに溜まった水、鉢植えの皿など、少しの水が溜まる場所で発生します。屋外に雨水等が長時間溜まる物を置かないようにしましょう。
- 室内の花瓶の水などは、最低週1回は換えましょう。
蚊に刺されない対策
- 屋外で活動する際には、長袖シャツ、長ズボンの着用、素足やサンダルを避けるなど、肌の露出を少なくしましょう。
- 虫よけ剤を使用しましょう。虫よけ剤は効果のある時間が限られていますので、長時間、屋外で活動する際には、こまめに使用しましょう。また、用法・用量や使用上の注意を守って正しく使用しましょう。
- 蚊が室内に入らないように、ドアや窓の開け閉めを減らし、網戸を使用しましょう。
蚊が媒介する感染症の流行国への渡航について
- 海外の流行地へ渡航する際には蚊に刺されないよう十分に気を付け、帰国後、発熱などの症状がある場合には、医療機関を受診してください。
- 妊婦及び妊娠を希望される方はジカウイルス感染症の流行国・地域への渡航及び滞在は可能な限りお控えください。
海外での感染症予防については、厚生労働省検疫所のページをご覧ください。
お問い合わせ
感染症対策課
〒426-0078 静岡県藤枝市南駿河台1-14-1 藤枝市保健センター
電話:054-645-1112
ファックス:054-645-2122
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更新日:2023年11月28日