いちごの選果・パッキング作業を自動化・効率化したい! ~地域農業の持続可能化に向けて~

課題の要点

解決したい課題

現在、いちごの選果とパック詰め作業は個々の農業者の手作業によって 行われており、その負担が経営規模拡大を図る上での支障となっている。

想定する実証実験

・いちごのサイズ、形状、糖度等を測定し、選別を行う装置の開発。

・いちごのパック詰めを行う装置(ロボット)の開発。

実現したい未来

選果及びパック詰め作業が機械化されることで、農業者は労力を栽培に振り向けることが可能となり、市内のいちご生産の拡大と農業者の所得 向上が図られる。

提案企業が得られるもの

製品化が実現すれば、全国のいちご産地における需要が見込まれる。

ストーリー

地域農業を取り巻く状況

令和2年に実施された農林業センサスにおいて、全国の農業経営体数は107万6千経営体 という結果が明らかとなりました。平成27年の前回調査からわずか5年の間に、30万1千経営体、21.9%という大幅な減少が発生しています。

農業経営体数の推移

本市もその例外ではなく、農業者の高齢化、後継者不足、人口減少による労働者人口の 減少等の要因により、今後、地域農業の担い手の数はさらに減少していくことが予想されます。

実際には、大半の農業者には後継者となり得る家族がいます。また、非農家の出身者で、 農業に取り組むことを希望する人も少なからず存在します。しかし、農業で生計を立てていくことが難しいことから、継ぎたくない、継がせたくない、就農をためらうといった状況が発生しています。

農業の衰退は、本市の食料生産額の減少という経済的な問題に留まるものではありません。耕作者の減少は、農業を中心に形成されてきた農村の衰退に直結し、維持管理が困難となった農地が荒廃すれば、害虫や雑草の発生による住環境の悪化や、災害の危険性が増すなど、 まちの活力・魅力を損なうことにつながってしまいます。農業の衰退に歯止めをかけることは、本市の喫緊の課題となっています。

いちごは優等生!

静岡県は、県産の品種である「紅ほっぺ」「きらぴ香」などで知られる全国有数のいちごの産地 です。本市においても、中山間地域から平野部まで、幅広い地域でいちごが栽培され、首都圏を中心とする大消費地に出荷されています。

国内需要は旺盛で、昨年来のコロナ禍の中にあっても、販売は堅調に推移しています。また、国が「2030年における農林水産物・食品の輸出目標5兆円」を掲げる中、高品質な国産の いちごは有力な輸出品目としても注目を集めるなど、さらなるマーケットの拡大に向け、大きな 可能性を持つ作物であると考えられます。

現在、他の作物と比較して、市内のいちご生産者は平均的に高い収益を挙げています。また、一定の水準を満たす新規就農者を国による支援の対象とする、「認定新規就農者」の認定を 受けて、近年市内で就農した人の半数以上もいちご生産者であり、新たな担い手にとっても非常に魅力的な作物となっています。

きらぴ香

きらぴ香

いちごの生産を増やしたい!けれど・・・

これからの地域農業を支える作物として、大いに期待されるいちごですが、「選果とパッキング」の作業負担の大きさが、生産規模の拡大を図る上での壁となっています。

いちごの果実は繊細で傷がつきやすく、他の果実のように機械による選果が困難であるため、 各生産者の手作業による選果・パッキングが行われてきました。現在、いちご栽培における年間 作業時間の実に30%以上が、これらの作業に費やされています。

これまで、各生産者は繁忙期にパートを雇用するなどして対応してきましたが、農業従事者の高齢化等により、年々人材の確保も難しくなってきています。「選果とパッキング作業ができる 限界」が、その生産者の「生産量の限界」の決定要因となり、収益が頭打ちになる状況が生じています。

いちごハウス1

いちごハウスの様子

いちごハウス2

持続可能な農業の実現に向けて

本市としては、「選果・パッキング作業」の機械化を実現することにより、いちご生産におけるボトルネックを解消し、生産者の規模拡大と、さらなる収益向上につなげていきたいと考えています。

単に省力化を図るだけではなく、センサー等の「機械の目」を活用することにより、人間よりも 正確・均質な選果や、糖度など人間では覚知できない要素の選果への反映を実現し、市内産いちごの品質向上、ブランド力強化にもつなげていきたいと考えています。

農業者の絶対数の減少が不可避な社会情勢の中、より少数であっても強固な経営基盤と高い収益性を備えた精鋭農業者の手により、地域農業を維持・発展させていく、その土台作りとなる取組にチャレンジしてみませんか。

募集要項

背景

全国的に農業者の減少が進む中、本市において栽培が盛んないちごは収益性が高く、既存農業者の規模拡大や、新規参入者が見込まれる有望な作物となっている。

地域農業の持続可能化に向け、農業関係者と協議をする中で「選果・パッキング作業」の負担が、いちご栽培の規模拡大の障壁となっている現状が明らかとなったことから、その解消を図っていきたいと考えている。

課題

いちごの選果及びパッキング作業は専ら農業者の手作業で行われており、 労働時間の多くが費やされている。

そのため、生産を拡大できる余地のある農業者が相当程度存在するにもかかわらず、「選果・パッキング作業を行える限界」が「生産量の上限」と なっている状況がある。

パッキングセンターを整備し、地域内のいちごを集約して作業を行う方法もあるが、季節性の労働となるため人手確保の困難が予想される。

求める解決策

いちごの選果及びパッキング作業を、センサーやロボットアーム等の技術を活用して機械化する。

想定する実証実験内容

JA大井川と連携のもと、次の取組を実施する。

・いちごのサイズ、形状、糖度等を測定し、選別を行う装置の開発。

・いちごのパック詰めを行う装置の開発。

実証実験成功後の発展性

選果・パック詰め作業の省力化は、いちご栽培における共通課題となっていることから、全国のいちご産地への普及展開が見込まれる。

提案企業に求める 専門性

繊細ないちごの果実を傷つけずに持つことのできる、ロボットアーム等の技術、いちごの形状や糖度を正確に測定できるセンサー等の技術。

プロジェクトの進め方・打合せ方法

提案企業・JA大井川・藤枝市の3者によるZOOM会議(随時)を基本とし、必要に応じて現場(ほ場/選果場)視察を実施する。

提供可能な データ・環境等

求められる処理量、必要な測定項目、選果の基準等の詳細はJA大井川から提供する。

プログラム終了後の本格導入

JA大井川への導入支援を行う。

お問い合わせ

情報デジタル推進課
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電話:054-643-3259
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更新日:2021年07月01日