施政方針

令和2年度の予算並びに組織改編の提案にあたり、市政経営に対する私の所信の一端と、その実現に向けた取組の概要を申し上げます。

本市を取りまく国内外の状況

昨今の国内外の社会経済動向を見ますと、まず、長引く米中の覇権争いによる貿易摩擦と、これに加えて中東情勢の緊迫化、さらにはイギリスのEU離脱も決まり、またここに来ての新型コロナウイルスの急拡大などが、世界全体の経済成長にブレーキをかけるとともに、我が国、そして我々地域経済にも大きなリスク要因となっています。

こうした中、本年1月に発効された新たな日米貿易協定や、交渉が大詰めを迎える東アジア地域包括的経済連携(RCEP)については、自由貿易圏の拡大が、本市の産業にプラスに効果を発揮することを期待するとともに、販路拡大に向けた取組を官民でスタートしたところであります。

国内に目を向けますと、製造業を中心に減速感があり、加えて消費増税による個人消費も政府の経済対策により下支えされておりますが、個人の消費マインドがどこまで持続するのか、注視が必要であります。

一方、本市を取り巻く状況を見ますと、市税収入全体は0.5%増と5年連続で伸びを示し、個人所得も引き続き堅調であり、経済動向は、企業の皆様のたゆまぬ努力により持ち堪えていますが、海外経済の不確実性をはじめ、特に今後の人手不足への懸念もあり、力強い地域経済を我々行政と産業界が一体となって再興していく、今、まさにその時であると考えております。

併せて、我が国、そして我々地方自治体が立ち向かう課題は、国難とも言うべき急激な人口減少であります。出生数は90万人を割り込み、自然減は50万人超と想定を上回るスピードで我が国の人口は減少しております。

こうした中での、ヒト、モノの東京一極集中は、地方の体力を奪い取るものでありますが、この大波に流されることなく、今こそ独自の価値を高め、今を生きる我々の責務として、本市から真の創生を果たし、確実に将来に繋げていかなければなりません。

本市が目指す“新たな礎”の構築

次の10年、20年を見据え、市民の皆様が希望を抱き、本市がさらに一段高い存在感を示す未来に向けて“新たな礎”を築いていくためには、私は4つの大きな課題を解決しなければならないと考えております。

1つ目は、高齢者人口がピークを迎える2040年頃を見据えた超高齢社会への対応

2つ目は、私どもの暮らしに変革をもたらすICT、デジタル社会への対応

3つ目は、大規模災害に対する適切な備えと防災・減災への対応

そして4つ目は、リニア中央新幹線の開通により誕生する巨大経済圏への対応と、今後の10年、20年を見据えた持続力ある都市づくりに向け、この4つの礎を確実に築いていかなければなりません。

そこで、これらに対応する新たな都市戦略として、本市がこれまで10年余をかけて進めてきた、市民の皆様の暮らしに直結する「4K施策」、そして本市が先駆的に進める「コンパクト+ネットワークのまちづくり」をさらに深化させるとともに、これらに、本市が先鞭をつけて活用を進めているICTなど先端技術を効果的に取り入れ、まち全体が最適で、市民の皆様の暮らしを豊かにする、安全・快適・便利な「スマート・コンパクトシティ」の形成を目指し、変革する社会に対応してまいります。

本市がトップランナーの気概を持って真の創生を果たすとともに、我が国全体の地方創生に寄与すること。そして、諸施策の効果を高め、人の流れを呼び込むとともに、来るべき縮小社会にも的確に対応し、スリムで効率的な都市経営に転換していくこと。さらにはこうした取組により、デジタル革命による人間中心の社会、いわゆるSociety5.0や、国際社会全体の目標であるSDGsに貢献していくこと。これがこれからの本市のビジョンであります。

何よりも“市民の皆様の安全・安心で幸せな暮らし”、そして“夢と希望を持つことができる未来”を確実に築くため、より強い思いと実行力で、全職員一丸となって、議員の皆様、市民の皆様と同じ方向を向き、果敢に前進してまいりたいと考えております。

本市が掲げる3つの重点方針

来る令和2年度は、第2期創生総合戦略を重点戦略に位置付ける第6次総合計画を策定する極めて重要な年でもあります。次の10年への一歩として、大きく3つの重点方針を掲げました。

重点方針1「“人口対策”につながる施策の展開」

まず、1つ目の「“人口対策”につながる施策の展開」ですが、引き続き全ての施策を総動員して、移住定住の促進、出生数の増加、健康長寿の延伸など、多角的に人口対策に取り組んでまいります。

特に若い世代の移住・定住を進めるため、住宅の取得や移転に係る支援を拡充するとともに、その受け皿となる貴重な資源として、空き家の活用と流通を促進します。昨年、この取組に賛同する16の企業の皆様を「空き家ゼロにサポーター」に認定いたしました。全国的にも珍しい、このサポーターの機動力と専門性を最大限活かして、リノベーションによる魅力的で低廉な住宅の供給を進めてまいります。

さらに、持続的な人口誘導に向け、中心市街地の活性化に発展的に取り組みます。旺盛な民間投資により、暮らしの核となる食品スーパーのオープンとともに、相次ぐ大型マンション建設により250戸もの住宅供給が進んでいます。

この流れを加速するため、駅前一丁目8街区に続く6街区、9街区、そして文化センター地区の連鎖的な再開発を地元の皆様とともに推し進めてまいります。

重点方針2「藤枝の未来を創る“成長の柱”の構築」

2つ目の「藤枝の未来を創る“成長の柱”の構築」につきましては、“選ばれるまち”として、将来にわたりヒトやモノを呼び込む都市の基盤づくりとして、各地域の皆様のご意向を伺いながら、新たな土地利用を推進してまいります。

特に中心市街地に隣接する水上地区については、広域都心としての役割を担う都市機能の集積、また、ICTなど先端技術を最大限活用した次世代型の都市、いわゆる「スマートシティ」の形成に向け、地元の皆様とまちづくりを進めてまいりたいと考えております。

さらに、将来に向けた地域産業の発展、これを担う人材の育成に重点的に取り組んでまいります。

その中心となる取組として、駅前への大学の拠点化、そしてこれと連動したビジネス創出の拠点化を進めます。産学官連携推進センターでは今、様々な活動が生まれ、大きな人の流れが生まれています。これをさらに一段高い取組とするため、本市はこの3月、大学を中心に高校や専門学校、日本語学校などを幅広く展開する、静岡理工科大学グループと新たに包括連携協定を結びます。

静岡産業大学をはじめ既に連携する6大学とともに、その知見や専門性を結集して、地域産業を担う高度人材の育成やリカレント教育を展開するとともに、IT企業やベンチャー企業等のサテライトオフィスも誘致し、産学官が一体となって地域産業に変革をもたらす環境づくりを、新たな地方創生の柱として重点的に取り組みます。

重点方針3「“高齢者、女性が活躍”できるまちづくりの推進」

3つ目の「“高齢者、女性が活躍”できるまちづくり」ですが、少子高齢、人口減少社会が進展する中で、活力と持続力を将来に向けて高めていくためには、高齢者がいつまでも元気に活動できるまちであること、そして女性が集まり安心して暮らし、働くことができるまちであることが何よりも重要であります。

高齢者の活躍につきましては、先ずは基本となる日々の安全・安心な暮らしをしっかりと支えるため、一人暮らしの高齢者などを対象に、全国で初めて多機能の「見守りロボット」を導入するとともに、ゴミの戸別収集など、きめ細かな対応を進めます。

これらに加えて、介護予防のさらなる強化と併せ、大学と連携した生涯学習の充実、シルバー人材センターや企業と連携した仕事の創出など、生きがいづくりにも重点的に取り組み、政府が進める人生100年時代構想を本市からリードしてまいります。

女性の活躍では、まずは結婚、出産の希望が叶うこと、そして仕事を続けながらも安心して出産や育児ができる環境があること、さらに活躍できる魅力ある仕事を増やすことが重要であります。

新年度においては、不妊・不育症治療の助成について、所得制限を撤廃し、誰もが安心して治療できる環境をつくるとともに、幼児教育・保育無償化と連動した、保育施設や放課後児童クラブの定員の確保など、子育て環境をさらに充実します。

 

市民生活に密着した「4K施策」のさらなる深化

これらの重点方針に係る取組と並行し、市民の皆様の日々の暮らしを支え、さらには、SDGsの根幹も成す「4K施策」をさらに前進させます。

健康分野では、昨年、本市が先駆的に進める地域包括ケアを核とした、地域ごとの生活支援の取組が「健康長寿をのばそう!アワード」で、厚生労働省老健局長賞を受賞しました。これまでの積み重ねの成果であり、大変嬉しく思います。さらに一歩、健康・予防日本一に向け、特に、昨年施行した「がん対策推進条例」を目に見える形とするため、女性の乳がんのセルフチェック支援をスタートするとともに、藤枝市立総合病院において、手術ロボットの導入や「がんゲノム医療センター」を新設し、圏域随一の「がん医療拠点」として高度な医療を提供してまいります。

教育分野では、ふじえだ型小中一貫教育を、新たに葉梨、西益津、高洲、岡部地区で実施し、小中一貫カリキュラムに基づき、継続的で一貫性のある授業づくりを進めるとともに、コミュニティスクールの導入と併せて地域総ぐるみで子供の育ちを支える取組を加速してまいります。
また、子供たちが変革やグローバル化が進む社会にも柔軟に対応し活躍できるよう、ALTのさらなる増員による生きた英語力を養う教育の充実や図書館司書の全校配置、また、大学や企業と連携した科学教育を前進させるため、「藤枝版発明クラブ」を創設し、本市ならではの教育で次代を担う“人づくり”を進めてまいります。

環境分野では、クリーンセンターの整備を志太広域事務組合とともに着実に進めるとともに、昨年度立ち上げた「官民協働廃プラ・食品ロス対策協議会」の具体アクションとして、河川ゴミ対策や環境人材をつくる親子3R体験などを展開し、環境日本一のまちとして、循環型社会に貢献してまいります。

また、いよいよ本年6月に開所する、本県の環境と県民の健康を守る科学技術の拠点である「県環境衛生科学研究所」とも連携し、市民の暮らしを守る一段高い環境政策を進めてまいります。

最後に、危機管理分野におきましては、特に、昨今頻発し激甚化する台風やゲリラ豪雨への対策として、ICTを活用した河川水位監視システムを充実・強化するとともに、マイタイムラインの作成支援を市内全域に拡大してまいります。

また、新たに内水氾濫に備えたハザードマップの作成やGISによる情報展開、災害時にり災証明を円滑に発行する被災者生活再建支援システムの導入など、ハード・ソフト両面で対策を進めます。

さらに、日常においても、市民の皆様の幸せな暮らしと貴重な命を徹底して守るため、市民文化部に「交通安全・地域安全課」を新設し、高齢ドライバーへの急発進抑制装置導入支援や官民一体となった見守りの強化など、交通安全日本一のまちづくりと地域防犯活動を一体的に推進してまいります。

令和の時代も「選ばれるまち」を目指して

市政経営におきましては、財政運営面では健全化がより一層進み、市債残高は、私が就任した平成20年度から約320億円の削減見込みが立ち、また、投資財源となる基金につきましても、新たな目的に合わせた確実な積み立てによりしっかりと財源を確保し、次の時代への大きな飛躍に向けて、一段と強力な足腰となったものと考えております。

令和2年度当初予算におきましても、増大する社会保障費に加え、通年実施となる幼児教育・保育無償化に伴う負担も増えますが、新たな時代、そして、来たるべき変革の社会を本市から切り拓いていくよう、より戦略的に、未来への投資となる予算編成を行いました。引き続き、常に先を見ながら適正に執行し、最大の成果を挙げるよう努力してまいります。

また、こうした取組を進め、将来に繫いでいくためには、私は何といっても“人”が重要であると考えております。志が高く、常に前を向く職員を育てていくため、新年度、新たに「人財育成センター」を設置いたします。

職員採用、言い換えれば人材発掘から、各分野でリーダーとなり、未来の藤枝市を創る人財の育成まで、一貫した“人づくり”を推進してまいります。


改めまして、令和2年度は、次の10年への一歩となる、極めて重要な年になります。

多くの市民の皆様とともに生み出してきた人や民間投資の大きな流れ、豊かな暮らしを確実に将来につなげ、夢と希望あふれるまちを築くとともに、しずおか中部5市2町、そして志太3市など広域におきましても、地域協働・地域共生により全国の中でも多彩な魅力と存在感を放つ、力強い圏域づくりを本市がリードしてまいります。

国民全てが平和な繁栄を期待し、胸ふくらませて迎えた「令和」という新たな時代。

我々が予想もつかないスピードで社会は日々変化していきますが、こうした時代にあっても、全国のトップランナーとして、「地方から国を変える」という強い決意と気概を胸に、いつの時代も「選ばれるまち」であり続けるよう、私の持てる力を全て傾注し、職員とともに、人に優しく、まちに優しく、未来に優しいまちづくりを進めてまいります。

そして市民の皆様とこの思いを共有させていただき、引き続きご協力、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。


以上、市政経営に対する所信の一端の説明とさせていただきます。

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更新日:2020年02月19日