施政方針

平成31年度の予算並びに組織改編の提案にあたり、市政経営に対する私の所信の一端と、その実現に向けた取組の概要を申し上げます。

国内外を取りまく状況

昨今の国内外の社会経済動向を見ますと、まず、緩やかに拡大を続けてきた世界経済は一転、混迷のさなかにあり、米中貿易摩擦への懸念や中国経済の減速、さらにはイギリスのEU離脱など、リスク要因の積み重なりから不確実性が一段と高まり、アメリカとの貿易交渉や中国、韓国などの外交リスクとともに、我が国にとりましても大きな脅威となっております。

国内に目を向けますと、2012年に始まった景気の回復・拡大は、好調な企業業績を背景にプラス成長が続き、この1月で戦後最長を記録したとされています。

しかしながら、世界経済の変調に伴う円高株安への急転換は、原材料価格の上昇や労働力不足などへの懸念と相まって、企業活動にも大きな影響が及ぶものと思われ、消費税増税後の個人消費の低下リスクも含め、景気の下振れが予想され、我々の日々の暮らしにも不透明感が漂っております。

こうした中、本市を取り巻く状況を見ますと、市税収入全体は1.5%増と前年を上回る伸びとなり、企業収益や個人所得も増加しております。有効求人倍率の水準も含め、景気は緩やかに回復している状況にありますが、今後は、間近に迫りくる様々なリスクへの対応力が求められることから、地方においては、まさに試練の時であると考えております。

こうしたことともに、我が国、そして我々地方自治体としての最大の課題は、何よりも、国難とも言うべき人口の急激な減少であります。

少子高齢化による生産年齢人口の減少と、人口そのものの減少による経済の縮小、そしてその中でのヒト、モノの東京一極集中は、我々地方自治体の体力を奪い取るものでありますが、悲観している余裕はありません。

私は、今こそが我が国が、今後同様の道を辿る世界のモデルとして、改めて力強く存在感を高めるチャンスの時であると考えております。そしてそのためには、住民に最も身近な基礎自治体である我々が、地方政府という自覚と責任の下、広い視野で大きなビジョンを描き、地方から新たな経済や価値観を生み出していくことが重要であります。

本市は、これまでも、健康施策やコンパクトシティづくりにおいて他市に先駆けた取組を進めてまいりましたが、こうした大きな転換期を迎え、改めて全国のトップランナーとして、「地方から国を変える」という強い決意と気概を胸に、持続力のある新たな地域社会づくりにチャレンジしてまいります。

本市が目指すべき姿

間も無く、30年という長き月日を経て平成という一つの時代が終わり、新しい時代が幕を開けます。

平成という時代は、経済の激しい浮き沈み、これまでの概念や経験知を覆す大災害、瞬く間に我々の暮らしを変え、世界を繋げたインターネットの普及など、社会構造や価値観を大きく変え、自治体経営にも大きな教訓とともに、考え方の転換が求められた時代でありました。

間も無く迎える新たな時代は、人工知能、いわゆるAIが人間の知性を超えるほど加速度的に進化し、物事の在り方が根本的に変革していく時代になり、また超高齢・人口減少社会という未体験の社会的局面、いわゆる「ネクストステージ」に突入する時代にもなります。

こうした様々な変化にもしなやかに対応し、我々の最大の使命である“市民の皆様の安全・安心で幸せな暮らしをしっかりと守る”ことを基本に、平成の、その次の時代も、“明るく輝く一段高い都市を創る”、このことを、この大きな節目の年の目標として、より強い想いと、より速い判断力、実行力で、全職員一丸となり、議員の皆様、市民の皆様とともに、新たな一歩を踏み出してまいりたいと考えております。

さて、来る平成31年度は、本市の戦略指針である「ふじえだ健康都市創生総合戦略」がいよいよ最終年度を迎えます。第6次総合計画の策定と併せ、次の20年に向けて本市の新たなビジョンを描く、極めて重要な年になります。

次の時代を見据え、まち、そして経済の活力をさらに高めていくためには、先導的な施策や行政サービスは勿論、技術革新や働き方改革による生産性の向上、そして何より、市民力を生かし、結集していく必要があります。

施策を推進するための3つの重点方針

次の時代への一歩として、次のとおり大きく3つ、平成31年度の重点方針を掲げました。

重点方針1 「“人口対策”につながる全施策の構築」

まず、1つ目の「“人口対策”につながる全施策の構築」ですが、引き続き全ての政策分野において、人口対策に的を絞った施策を横断的に企て、“選択と集中”により展開してまいります。

中でも、新年度は「空き家の流通」を成長戦略に位置付け、定住人口を呼び込む貴重なストックとして、官民連携で重点的に活用を進めます。空き家の取得や改修に係る支援を拡充することで、子育て世代をターゲットに、リノベーションによる魅力的で低廉な住宅の供給、解体による新たな宅地の供給を促し、課題となる住宅団地の新陳代謝による再生にもつなげてまいります。

また、定住の促進に向けては、何より生活の基盤となる、しごと・雇用をしっかりと生み出して行くことが重要であります。そこで、産業政策課内に「中小企業振興係」を新設し、ここに中小企業対策、就労対策を集約することで雇用戦略と一体となった成長支援を行い、加えて、先般県とともに国に申請した新たな地方創生事業である「移住・就業支援金制度」を最大限活用し、雇用マッチングと移住定住を一元的に進めてまいります。

さらに、「内陸フロンティアパーク・藤枝たかた」の工業団地整備を着実に進めるとともに、企業の本市への旺盛な進出意向を確実に吸収し、大きな人の流れを生み出すことができるよう、善左衛門地区や、その他可能な地区について、地元の皆様の意向を尊重しながら、計画的に土地利用を推進してまいります。

重点方針2 「“都市ブランド力”の向上」

2つ目の「“都市ブランド力”の向上」につきましては、まずは、本市の顔であり、しずおか中部において、静岡市とともに広域都心を形成する、中心市街地の活性化に引き続き注力してまいります。

新年度は、駅前地区の再開発を軸とした新たな都市再生計画がスタートします。少子高齢社会のモデル拠点である駅前一丁目8街区「フジエダミキネ」に続き、6街区、9街区、そして文化センター街区と、連鎖的に再開発を推し進め、次の時代に相応しい都心づくりを推進してまいります。

本市は昨年、全国に先駆けた“コンパクト+ネットワーク”の都市づくりが評価され、政府から「地方再生コンパクトシティ」のモデル都市に、県内では唯一指定されました。

私は、次のステップとして、現在こちらも先導的に進めているIoTやAIなどICTの活用を、この独自のまちづくりに積極的に取り入れ、次の時代の都市モデルとして“スマート・コンパクトシティ”という概念を本市から打ち出し、暮らしの質と都市の価値を高めてまいりたいと考えております。

東京オリンピック・パラリンピックや大阪・関西万博などの開催により世界的な人の流れが生まれ、訪日客4千万人時代を迎える中、本市の宝である豊かな中山間地域や伝統ある朝比奈玉露などの資源はさらに磨きをかけ、広く発信していく必要があります。特に、特産品であるお茶と併せて、旧東海道を中心とした街道・文化遺産群を観光資源として有効に活用するため、新年度、街道・文化課内に「文化資源活用担当」を新たに配置し、周辺市町とも連携して「日本遺産」の認定を目指すとともに、再整備を進める蓮華寺池公園などと一体的な地域ブランドづくりを進め、民営化される富士山静岡空港とも連携して、広域観光交流を推進してまいります。

重点方針3 「“女性、高齢者が活躍する”まちづくりの推進」

3つ目の「“女性、高齢者が活躍する”まちづくりの推進」ですが、明るく輝く一段高い都市創りにおいては、何よりも、市民が希望を持ち、活き活き活躍することが重要であります。特に、将来に向けて持続力を高めるためには、若い女性に選ばれるまちづくりが必要であり、そのためには、魅力ある仕事を増やすこと、そして仕事を続けながらも安心して出産や育児ができる環境をつくることが重要であります。

そこで、来月予定する、静岡労働局との雇用対策協定に基づき、ハローワークや、先日東海地方で初めて本市にオープンしたママスクエアと連携し、子育て中の女性の再就職相談や交流会、仕事体験などを新たに展開してまいります。併せて、国の幼児教育・保育無償化の動きとも連動し、病児・病後児保育や認定こども園、放課後児童クラブの拡充を進め、安心して働くことができる環境づくりを進めてまいります。

高齢者の活躍につきましては、先ずは日々の暮らしを支える住まいや雇用、そして移動のための足の確保など、生活の基盤をしっかりと作ることが大切であります。そこで、本市独自の生涯活躍のまちづくりとして、ICTなどを活用した「在宅生活安心システム」の導入推進や「仕事・雇用マッチングサービス」の構築、地域住民が自ら協力し移動を支援する、名付けて「出かけっCAR」の運営サポート、さらには、交流の場となる「老人憩の家」の機能充実などを進め、喫緊の課題である集落のコミュニティ維持対策も含め、本市の強みである地域包括ケアと連動させ、総合的に取り組んでまいります。

また、これらに加え、障害者の活躍の場づくりとして新たに「テレワークオフィス」の開設を支援し、しごと・雇用を生み出すとともに、改正入管法への対応も含め、男女共同参画課を「男女共同参画・多文化共生課」に改編し、多様な人材が対等に暮らし、活躍できるまちづくりを展開することで、政府が進める全世代型の人生100年時代構想を、本市からリードしてまいります。

 

市民生活の基本「4K施策」のさらなる前進と深化

これらの重点方針に係る取組と並行し、 市民の皆様の日々の暮らしを支える、“4K施策”のさらなる前進、深化も進め、安全・安心で豊かな暮らしの実現、そして国際社会への貢献を進めてまいります。

健康分野では先般、社会福祉法人鳳会・地域包括支援センターふじトピアが、「健康寿命をのばそう!アワード」で厚生労働大臣優秀賞を受賞されました。大変誇らしい出来事であり、本市の健康施策の大きな果実でもあります。新年度におきましては、4月に施行する「がん対策推進条例」に基づき、がん健診の無料化に踏み切るとともに、がん医療の高度化に向け、市立総合病院において手術支援ロボット等の導入に向けた手術室の拡張と併せ、新たに「緩和ケアセンター」を設置し、患者に寄り添ったがん対策を充実してまいります。

教育分野では、ふじえだ型小中一貫教育を、新たに大洲、広幡地区で実施し、昨年度作成した小中一貫カリキュラムに基づき、継続的で一貫性のある授業づくりを進めるとともに、学校サポーターズクラブ等と併せて地域総ぐるみで子どもの育ちを支える取組を加速してまいります。また全ての特別支援学級への支援員の配置による特別支援教育の強化とともに、生きた英語力を養う英語教育、新年度から中学校でも教科化される倫理観を育む道徳教育、そして先端機器を活用したICT教育など、本市ならではの教育の充実により、心優しく、次代を担い、世界で活躍する人材づくりを進めてまいります。

環境分野では、先般着工した新藤枝環境管理センターや、将来への基盤となるクリーンセンターの整備を志太広域事務組合とともに着実に進めるとともに、新たに交付される森林環境譲与税を活用し、温室効果ガス削減や水源涵養等に寄与する森林環境整備に着手してまいります。

最後に、危機管理分野におきましては、政府の集中的な国土強靭化対策に連動し、橋梁の耐震化等の基盤整備を確実に進めるとともに、南海トラフ地震や原子力災害、豪雨による水害、土砂災害等から市民の貴重な命と財産を守るため、GISを活用して正しい情報を分かりやすく、的確に市民に伝えることを第一に、防災対策を徹底・強化してまいります。

また、交通安全対策として、県内初となるドライブレコーダーの設置補助や、高齢者の運転免許証の自主返納促進に向けた公共交通利用の大幅な支援拡充も進め、“交通安全日本一”のまちづくりを着実に推進いたします。

「選ばれるまち」であり続けるために

市政経営におきましては、財政運営面では健全化がより一層進み、市債残高は、私が就任した平成20年度から約306億円の削減見込みが立ち、また、投資財源となる基金につきましても、新たな目的に合わせた確実な積み立てによりしっかりと財源を確保し、次の時代への大きな飛躍に向け、一段と強力な足腰となったものと考えております。

平成31年度当初予算におきましても、増大する社会保障費に加え、幼児教育・保育無償化や消費税増税に伴う負担も増えますが、“明るく輝く一段高い都市創り”に向け、より戦略的に、未来への投資となる予算編成を行いました。引き続き、常に先を見ながら適正に執行し、最大の成果を上げるよう努力してまいります。

また、高齢化がピークを迎える2040年頃を見据えると、我々市役所も縮小社会のパラダイムへの転換が必要となります。そこで、働き方改革も含め、業務におけるAIや、定型事務をロボットにより自動化する、いわゆるRPA等の効果的な導入を積極的に進め、トップランナーであるための先駆的な施策の企画立案や、市民の身近なサービスを提供する業務に人材等の資源を集中する、新公共経営の新たな展開も進めてまいります。

改めまして平成31年は、岡部町との合併から10年を迎え、本市としても、そして歴史的にも、次の時代に向けて大きな区切りとなる、極めて重要な年になります。

議員の皆様、多くの市民の皆様とともに生み出してきた人や民間投資の大きな流れ、豊かな暮らしを確実に将来につなげ、明るく希望あふれるまちを築くとともに、しずおか中部5市2町、そして志太3市など広域におきましても、地域共生により、新たな成長のプラットフォームとして力強い経済圏を確立し、全国の中でも多彩な魅力と存在感を放つ地域づくりを、本市がリードして進めてまいります。

明るく輝く一段高い都市として、次の時代も「選ばれるまち」であり続けるよう、私の持てる力を全て傾注し、市政経営を進めてまいりますので、市民の皆様とこの思いを共有させていただき、引き続きご協力、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

以上、市政経営に対する所信の一端の説明とさせていただきます。

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更新日:2019年02月18日