名波 浩 さん

平成9年11月1日、ソウル・オリンピックスタジアム。サッカー日本代表にとっては、まさにがけっぷちの一戦であった。負けられない、引き分けさえも許されない、そんなプレッシャーだけが重くのしかかる。しかし、開始わずか1分、韓国のゴールネットが揺れた。決めたのは日本の指令塔、背番号10、名波選手の左足である。「プレッシャーはありました。でも、開き直ったことが勝利につながったようです。」この得点がどんなに大きな1点であったかは言うに及ばない。日本をワールドカップ初出場に導いた価値ある1点と言って良い。

ほとんど左足でしかボールを蹴らない。どんなに体勢が崩れてもどんなに難しい局面でも左足で見事にボールをコントロールする。「右足で蹴るより正確だから」と謙そんするが、一流選手だからこそのこだわりでもある。

ワールドカップは、今年の6月にフランスで開催される。「そのピッチにはぜひ立っていたいですね。ワールドカップは幼い頃からの夢でしたから」世界の一流プレーヤーを相手に黄金の左足が変幻自在の活躍を見せる日が、今から待ち遠しい。

（広報ふじえだ平成10年1月5日号）