大蛇にさらわれた賀姫


昔、藤枝に粉川長楽斎(こかわちょうらくさい)という長者が住んでいました。長者には賀姫(いわいひめ)という16歳になるかわいい一人娘がいました。また、長者の家の近くに青池という深い池があって、大きな大蛇が住みついていました。大蛇は賀姫に一目惚れしてしまい、ある時、美しい青年に化けて賀姫に近づき、姫を池の中に引き込んでしまいました。これを知った長者はたいそう怒り、石や鉄を真っ赤に焼いては次々と池へ投げ込みました。何日も何日もそれを繰り返していると、さすがの青池の水もついには煮え湯となり、中にいた大蛇もたまらず死んでしまいました。娘の仇を討った長者は、娘の霊を慰めるために自分の屋敷を寺としました。これが長楽寺の始まりだと伝えられています。


更新日:2018年10月08日