狐こう薬

更新日:2018年10月08日

(イラスト)狐のこう薬1

瀬戸川にまだ橋がかけられていなかったころ、旅人は川越人夫の肩に乗って川を渡りました。
ある秋の夜更けのこと、川庄屋の家に美しい娘が訪ねてきて、どうしても今夜中に向こう岸に渡りたいと頼まれました。やむなく庄屋は娘を肩に担いで川を渡りました。「ありがとうございました」といって差し出されたお金をよく見ると、それは桜の落ち葉でした。「おのれっ!」と脇差しで斬りつけると、「キャン」と叫んで娘は姿を消してしまいました。近くを見ると狐の前足が落ちていたので、庄屋はそれを拾っていえに帰りました。しばらくすると、また川庄屋の戸をたたくものがありました。戸を開けてみると先程の娘が立っていて、「先程は申し訳ありませんでした。どんな傷でも治る妙薬の作り方を教えますので、どうか私の手を返してください」と涙ながらに訴えました。庄屋は狐の手と引き換えに秘密の薬の作り方を教わり「狐膏薬」という名で売り出したところ、おもしろいようによく売れました。
 

(イラスト)狐のこう薬2
(イラスト)狐のこう薬3
(イラスト)狐のこう薬4

この記事に関するお問い合わせ先

郷土博物館・文学館
〒426-0014 静岡県藤枝市若王子500
電話:054-645-1100
ファックス:054-644-8514

メールでのお問い合わせはこちら