○藤枝市こども基本条例

令和6年3月21日

条例第11号

目次

前文

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 こどもの権利の保障(第3条―第6条)

第3章 こどもの権利を保障するための責務(第7条―第11条)

第4章 こどもにやさしいまちづくりの推進(第12条―第22条)

第5章 保護者等への周知及び啓発(第23条)

第6章 施策の評価(第24条・第25条)

第7章 こどもの権利侵害からの救済(第26条)

第8章 雑則(第27条)

附則

こどもは、次代を担うかけがえのない存在であり、計り知れない可能性を秘めた宝であります。

全てのこどもは、貴重な社会の一員であり、一人一人が異なる環境の中で育ち、権利の主体として尊重され、「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」が保障されなければなりません。そのために全ての市民は、連携し、及び協働してこどもに寄り添い、誰一人取り残すことなく、全てのこどもが将来へ希望をもち、心と体が健やかに育つ環境づくりを推進する必要があります。

さらに、こども自身がこれらの権利を理解し、行使し、守られることが、こどもにやさしいまちの実現につながっていきます。

今を生きるこどもたちが、夢と希望を抱きながら幸せに暮らし、安全・安心で心身ともに健やかに成長することは、全ての市民にとって切なる願いであります。その成長を地域社会で相互に連携し、かつ、協働して支え、明るい未来へ導き、生まれ育った自然豊かで魅力あふれるまちにいつまでも住み続けたいと思えるような、こどもにやさしいまちの実現を目指し、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、全てのこどもを尊重し、こどもの権利並びに保護者、市、学校等、地域住民等及び事業者(以下「市等」という。)の責務その他の市が行うこども基本法(令和4年法律第77号。以下「法」という。)に規定するこども施策(以下「こども施策」という。)の推進のための基本となる事項を定めることにより、こどもたちが安全に、かつ、安心して健やかに育つまち及びこどもにやさしいまちの実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) こども 18歳未満の者その他これらの者と等しく権利を認めることが適当と認められる者をいう。

(2) 若者 中学生年代から40歳未満の者をいう。

(3) 保護者 親及びこどもを現に養育する者をいう。

(4) 学校等 学校、幼稚園、保育所、認定こども園その他こどもが学び、育つための施設並びにこれらの関係者及び組織をいう。

(5) 地域住民等 市民及び団体をいう。

(6) 事業者 市内に事務所又は事業所を有し、事業を営む全ての事業者及び団体をいう。

(7) 関係機関 他の地方公共団体、警察及び医療機関をいう。

第2章 こどもの権利の保障

(安心して健康に生きる権利の保障)

第3条 市等は、こどもが安全に、かつ、安心して健康に生きるために、次に掲げることを保障するための配慮をしなければならない。

(1) 命が守られ、尊重されること。

(2) 差別又は不当な扱いを受けないこと。

(3) 虐待、体罰、いじめなどあらゆる暴力を受けないこと。

(4) 健康が保たれ、適切な医療を受けられること。

(個性が尊重され自分らしく生きる権利の保障)

第4条 市等は、こどもがその個性が尊重され、自分らしく生きるために、次に掲げることを保障するための配慮をしなければならない。

(1) 自分の存在を認められ、個性が尊重されること。

(2) 自分の考えを年齢、成長及び発達に応じて自由に表現し、尊重されること。

(3) プライバシー及び名誉が守られること。

(自ら守り、守られ、育まれる権利の保障)

第5条 市等は、こどもが自分を守り、又は自分が守られ、若しくは育まれるために、次に掲げることを保障するための配慮をしなければならない。

(1) 学び、遊び、及び心身ともに休息することができること。

(2) 文化、芸術及びスポーツに触れ、親しむこと。

(3) 社会全体から必要な支援を受けられること。

(4) 成長が妨げられる状況から保護されること。

(5) 悩み又は困りごとに係る相談をし、又は助言その他必要な支援を受けられること。

(6) 愛情と理解をもって大切に育まれること。

(社会に参加する権利の保障)

第6条 市等は、こどもが自分に関わることについて意見を述べ、社会に参加するために、次に掲げることを保障するための配慮をしなければならない。

(1) 自分の意見を表明する機会が与えられること。

(2) 社会に参加するために、必要な知識及び情報を得るための支援が受けられること。

(3) 自由に仲間を作り、集い、又は活動すること。

第3章 こどもの権利を保障するための責務

(保護者の責務)

第7条 保護者は、こどもの養育及び権利の保障について最も重要な責任があることを認識し、必要に応じて市等及び関係機関に相談し、支援を求め、こどもの年齢及び発達に応じた養育に努めるものとする。

2 保護者は、こどもが自らの権利を正しく理解するとともに、自らの権利と同様に、他者の権利を尊重できるよう支援に努めるものとする。

3 保護者は、こどもとの時間を大切にし、こどもが健やかに育つ環境の整備に努めるものとする。

(市の責務)

第8条 市は、こどもの権利を保障するため、保護者、学校等、地域住民等、事業者及び関係機関(以下「保護者等」という。)と連携し、協働によりこども施策を推進するものとする。

2 市は、保護者、学校等、地域住民等及び事業者がそれぞれの責務を果たすことができるよう、必要な支援を行うものとする。

(学校等の責務)

第9条 学校等は、こども一人一人の発達に応じて、こどもが主体的に学び、健やかに育つことができる環境を整備するとともに、必要な支援に努めるものとする。

2 学校等は、こどもが自らの権利を正しく理解するとともに、他者の権利を尊重し、ともに学ぶことができるよう、必要な支援に努めるものとする。

3 学校等は、こどもが様々な経験を通して成長できるよう、必要な支援に努めるものとする。

(地域住民等の責務)

第10条 地域住民等は、市及び学校等と協働して、こどもが安全に、かつ、安心して豊かな心と体を育むことができる環境の整備に努めるものとする。

(事業者の責務)

第11条 事業者は、保護者である従業員が子育てと仕事を両立できるよう、子育てしやすい職場の環境の整備に努めるものとする。

2 事業者は、ともに働く従業員の子育てに対する理解を深め、意識向上に努めるものとする。

第4章 こどもにやさしいまちづくりの推進

(こども本位の環境の整備の推進)

第12条 市は、保護者等と協働して、こどもが健やかに育ち、こどもの気持ちを受け止め、かつ、こどもの権利が尊重されるこども本位の環境の整備を推進するものとする。

(健やかな成長の支援)

第13条 市は、こどもの健やかな成長に必要な支援を推進するものとする。

(伴走型支援)

第14条 市は、伴走型支援(妊産婦の段階及び新生児から若者に至るまでの各段階に応じ、一貫した包括的できめ細かな切れ目のない支援をいう。)を推進するものとする。

(誰一人取り残さない教育の推進)

第15条 市は、全てのこどもたちが誰一人取り残されることなく、ともに教育を受け、一人一人が夢や希望を持ち、生き生きと学び、健やかに育つ環境の整備に努めるものとする。

(こどもにやさしいまちづくりの推進)

第16条 市は、第12条から前条までの規定を踏まえ、こども施策の幅広い展開及びより一層の充実並びに医療、教育、福祉その他こどもに関連する分野との連携及び調整を図りつつ、法第10条第2項に規定する計画を定め、総合的かつ計画的に施策を推進するものとする。

2 市は、こども施策の推進に当たっては、こども及び保護者その他の関係者の意見を聴くものとする。

(虐待及び体罰の防止)

第17条 市は、児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)の規定に基づき虐待及び体罰を防止及び予防するために必要な対策を講じるとともに、保護者等と連携し、虐待及び体罰の防止及び早期発見のための対策を講じるよう努めるものとする。

2 市は、虐待及び体罰の連絡があった場合は、虐待及び体罰を受けたこどもを適切かつ速やかに守るため、関係機関、保護者(虐待及び体罰を行っているものを除く。)、学校等及び地域住民等(以下「関係機関等」という。)と情報を共有し、連携して必要な支援を行わなければならない。

3 関係機関等は、虐待及び体罰を受けたこどもに対し、こどもが施設等に保護され、又は入所している間においてもこどもの権利が保障されるよう、市との情報の共有その他必要な配慮に努めるものとする。

(いじめの防止)

第18条 市は、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)の規定に基づくいじめ防止基本方針を定め、いじめの防止及び早期発見に努めるものとする。

2 学校等は、いじめを受けたこども及び保護者に適切な支援を行うとともに、いじめを行ったこどもに対してその背景に配慮した上で指導し、又はその保護者に対して助言を行うものとする。

(貧困の防止)

第19条 市は、子どもの貧困対策の推進に関する法律(平成25年法律第64号)の規定に基づく計画を定め、こどもが安心して健やかに成長し、及び発達するために、こどもの貧困防止のための対策に取り組むものとする。

(こどもの社会参加及び意見表明)

第20条 市等は、こどもが社会の一員として自分の考え及び意見の表明を行うことにより社会に参画する機会を設けるよう努めるものとする。

2 市は、こども施策について、こどもが意見を表明し、参画する機会を確保するものとする。

3 学校等及び地域住民等は、学校等の行事及び地域活動に関して、こどもが意見を表明し、参画する機会の確保に努めるものとする。

(こどもの居場所の整備)

第21条 市等は、こどもが自分らしく安心して過ごすことができ、かつ、様々な体験を通し、豊かな人間性を育むことができる場(以下「こどもの居場所」という。)の整備に努めるものとする。

2 市等は、こどもの居場所の整備に当たって、こどもが豊かな自然及び様々な人と触れ合い、多様な体験ができるよう助言又は必要な支援に努めるものとする。

(多様性の尊重)

第22条 市等は、こどもが国籍、性別及び宗教の違い、障害の有無その他の違いについて、その多様性を尊重されるよう配慮するものとする。

2 市等は、こどもに対し、偏見及び差別その他不当な扱いが生まれないようにするために、その多様性に対する理解を深め、広めるよう努めるものとする。

第5章 保護者等への周知及び啓発

(保護者等への周知及び啓発)

第23条 市は、こどもの権利に関する保護者等の理解を深めるため、必要な周知及び啓発を行うものとする。

第6章 施策の評価

(報告)

第24条 市は、こどもの権利を守り、こども施策の充実を図るため、こども施策の推進状況について、藤枝市子ども・子育て会議(藤枝市子ども・子育て会議条例(平成25年藤枝市条例第27号)第1条に規定する藤枝市子ども・子育て会議をいう。以下同じ。)に報告するものとする。

(評価・検証)

第25条 藤枝市子ども・子育て会議は、こども施策の推進状況その他こども施策に関連する事項について評価及び検証をし、その結果を市が公表するものとする。

第7章 こどもの権利侵害からの救済

(こどもの権利侵害からの救済)

第26条 市は、こどもの権利侵害に関する相談又は救済に当たっては、保護者等との連携を図るとともに、こどもの特性及び権利侵害の実情に配慮し対応するものとする。

第8章 雑則

(委任)

第27条 この条例の施行について必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、令和6年4月1日から施行する。

藤枝市こども基本条例

令和6年3月21日 条例第11号

(令和6年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第3節 児童・母子福祉
沿革情報
令和6年3月21日 条例第11号