○藤枝市認知症とともに生きる共創のまちづくり条例

令和6年3月21日

条例第8号

今日、認知症に関する社会の考え方(以下「認知症観」という。)が大きく変わってきています。令和6年1月1日には国による法整備がなされ、認知症の人がその個性と能力を発揮し、社会の対等な構成員として、ともに活躍し支え合う、新しい認知症観に基づく共生社会の実現に向けた取組が推進されています。

藤枝市においても、「認知症の人とともに築く地域づくり」を認知症施策の基本とし、認知症の人同士が集い自らの体験や希望を語り合う機会や認知症の人がその姿と声を通じて、認知症とともに暮らす中での思いや考えを発信する機会の創出に取り組んでおり、認知症の人が暮らしやすいまちづくりに必要な役割を担っています。認知症の人を含む全ての市民等が世代や立場を超えて、共に創る共生社会の実現を目指し、中長期的に認知症施策を推進するため、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、市が行う共生社会の実現を推進するための認知症基本法(令和5年法律第65号。以下「法」という。)の規定に基づく認知症施策(以下「認知症施策」という。)の基本理念、市の責務並びに市民等、事業者及び関係機関等(以下「多様な主体」という。)の役割その他の認知症施策の基本となる事項を定めることにより、全ての市民等が安心して認知症とともに生きることができるまちづくりを共創により推進することを図り、もって全ての市民等が個性と能力を発揮し、自分らしく暮らすことができる活力ある共生社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 認知症 法第2条に規定する認知症をいう。

(2) 市民等 市内に居住、通勤又は通学する者をいう。

(3) 事業者 市内において事業活動を行う個人、法人又は団体をいう。

(4) 関係機関等 医療、介護、福祉、保健、法律その他の生活に関連するサービスであって、認知症の人の支援となるものに携わる機関又は事業者をいう。

(5) 共創 市及び多様な主体がそれぞれの個性と能力を発揮し、創意工夫により新たな発想や取組、仕組みを創出することをいう。

(基本理念)

第3条 認知症施策を推進するための基本理念は、次のとおりとする。

(1) 全ての認知症の人が、基本的人権を享有する個人として、その個性と能力を十分に発揮し、様々なことに挑戦し、自分らしく暮らし続けること。

(2) 認知症とともに生きることへの多様な主体の理解を深め、世代や立場を超えて、全ての市民が暮らしやすいまちを共創すること。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念にのっとり、認知症施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

2 市は、認知症施策の実施に当たり、常に認知症の人の視点に立ち、認知症の人並びにその家族及び認知症の人と日常生活において密接な関係を有する者(以下「家族等」という。)の意見を聴き、法第13条の規定に基づく計画の策定、その実施及び評価をするものとする。

(市民等の役割)

第5条 市民等は、認知症とともによりよく暮らすための備えとして、認知症に関する正しい知識及び認知症の人の発信をもとに認知症の人に関する正しい理解を深めるよう努めるものとする。

2 認知症の人を含む全ての市民等は、相互に支え合い安心して社会参加を継続できるよう努めるものとする。

3 認知症の人は、多様な主体が認知症とともに生きることへの理解を深めることができるよう自らの意思に基づき、経験、思い及び考えを発信するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、その従業員が認知症とともに生きることへの理解を深めるために必要な教育や研修その他の学びの機会を設けるとともに、サービスの提供に当たり、認知症の人の意向を重視し、必要かつ合理的な配慮を行うよう努めるものとする。

2 事業者は、認知症の人及び家族等の状態に応じて、働きやすい環境を整備し、その雇用の継続に配慮するよう努めるものとする。

(関係機関等の役割)

第7条 関係機関等は、認知症の人の状態と意向に応じて適切なサービスを受けることができるよう相互の連携に努めるとともに、認知症の人及び家族等が、適切なサービスを選択することができるよう必要な情報の提供に努めるものとする。

(認知症とともに生きることへの理解の促進)

第8条 市は、多様な主体が認知症とともに生きることへの理解を深めるために、認知症の人の経験及び思い、考えその他の共創のために必要なことを発信し、認知症について学ぶことができる機会の創出に努めるものとする。

(社会参加及び社会参画のための環境の整備)

第9条 市は、認知症の人の視点に立ち、認知症の人が生活する上で障壁となるものをなくし、安全かつ安心して社会参加及び社会参画ができる認知症バリアフリーな環境の整備に努めるものとする。

2 市は、家族等が働きやすい環境及び健康でよりよく暮らし続けるための環境の整備に努めるものとする。

(藤枝市認知症とともに生きる共創のまちづくり委員会)

第10条 市は、この条例に基づき安心して認知症とともに生きることができるまちづくりを共創により推進するために、必要な事項の調査及び審議を行うため、認知症の人及び家族等が参画した藤枝市認知症とともに生きる共創のまちづくり委員会(次項において「委員会」という。)を設置する。

2 前項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(委任)

第11条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、令和6年4月1日から施行する。

藤枝市認知症とともに生きる共創のまちづくり条例

令和6年3月21日 条例第8号

(令和6年4月1日施行)