○藤枝市がん対策推進条例
平成30年12月21日
条例第30号
(目的)
第1条 この条例は、がんが市民の疾病による死亡の最大の原因となっている現状に鑑み、がん対策基本法(平成18年法律第98号)の基本理念を踏まえ、本市のがん対策について、基本理念を定め、市の責務並びに市民、保健医療福祉関係者、事業者及び教育関係者の役割等を明らかにするとともに、市が実施するがん対策の基本となる事項を定めることにより、総合的かつ計画的にがん対策を推進し、もって市民の健康寿命の延伸に寄与することを目的とする。
(1) 保健医療福祉関係者 次に掲げるものをいう。
ア 一般社団法人志太医師会
イ 一般社団法人藤枝歯科医師会
ウ 医師及び歯科医師
エ ウ以外の医療関係者
オ 藤枝市保健委員
カ 保険サービス又は福祉サービスに従事する者
(2) がん患者等 がん患者及びその家族をいう。
(3) がん患者団体 がん患者等を中心として構成される団体をいう。
(基本理念)
第3条 がん対策は、市民が生涯にわたり健やかに安心して暮らせる社会を実現するために行われなければならない。
2 がん対策は、がんが市民の生命及び健康にとって重大な問題となっている現状に鑑み、市民の立場に立って推進しなければならない。
3 がん対策は、市民の生命及び健康を守るため、国及び静岡県(以下「県」という。)と連携を深めながら、市、市民、保健医療福祉関係者、事業者及び教育関係者がそれぞれの責務及び役割を自覚し、主体的な関与と協力により、一体となって推進しなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、がんに関する正しい知識の普及を図るとともに、がんの予防、早期発見及び早期治療に実効性のある施策を実施しなければならない。
2 市は、国、県、保健医療福祉関係者、事業者及び教育関係者との協力体制を築き、がん対策に取り組まなければならない。
3 藤枝市立総合病院は、質の高いがん医療の提供並びに先進的治療を実施するために必要な施設及び設備の整備並びに機器の導入に努め、がん医療水準の向上を図るとともに、がんの予防、早期発見、早期治療等のがん対策を推進するものとする。
4 藤枝市立総合病院は、県及び保健医療福祉関係者と連携し、がん患者の療養生活の質の維持及び向上並びにがん患者等の精神的な苦痛、生活不安等の軽減に資するよう相談支援及び情報提供の充実を図らなければならない。
5 藤枝市立総合病院は、国指定の地域がん診療連携拠点病院としての機能を更に充実していかなければならない。
(市民の役割)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、がん予防のための正しい知識に基づいた喫煙、飲酒、食生活、運動その他の生活習慣の改善並びに定期的ながん検診の受診等によりがんの早期発見及び早期治療に努めるものとする。
2 市民は、受動喫煙が健康に及ぼす影響を認識し、喫煙者にあっては非喫煙者が望まない受動喫煙をなくす配慮に努めるものとする。
3 市民は、市が実施するがん対策に関する施策に参加及び協力をし、並びにがん患者に関する理解を深めるよう努めるものとする。
(保健医療福祉関係者の役割)
第6条 保健医療福祉関係者は、基本理念にのっとり、がんの予防、早期発見、早期治療等のためのがん医療の提供並びにがん患者等が必要とする介護、相談支援及び情報提供に努めるものとする。
2 保健医療福祉関係者は、市が実施するがん対策に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第7条 事業者は、基本理念にのっとり、従業員及びその家族(以下「従業員等」という。)に対し、がんに関する正しい知識の普及に積極的に取り組むとともに、従業員等が定期的にがん検診を受けることができる環境の整備に努めるものとする。
2 事業者は、従業員等の検診結果を踏まえ、早期に医療機関につなげることができる体制づくりに努めるものとする。
3 事業者は、従業員ががん患者となった場合において、加療しながら就業を継続できる環境の整備に努め、及び従業員の家族ががん患者となった場合においても、看護又は介護をしながら就業を継続できる環境の整備に努めるものとする。
4 事業者は、職場や採用選考時において、がん患者及びがんと診断されたことのある人を理解し、公平に扱うよう十分に留意しなければならない。
5 事業者は、市が実施するがん対策に関する施策に参加及び協力をし、並びにがん患者に関する理解を深めるよう努めるものとする。
(教育関係者の役割)
第8条 教育関係者は、基本理念にのっとり、児童、生徒及び学生が健康と命の大切さについて学び、自らの健康を適切に管理し、がんに関する正しい知識を持つための教育の推進に努めるとともに、市が実施するがん対策に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(情報の収集及び提供)
第9条 市は、国、県及び保健医療福祉関係者と連携を図り、がん対策に資する情報を収集するとともに、市民に対して、がんの予防及び早期発見、がん医療並びに患者支援に関する情報を適切に提供するものとする。
(がん予防の推進)
第10条 市は、国、県及び保健医療福祉関係者と連携し、喫煙、飲酒、食生活、運動その他の生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響に関する知識を普及し、並びにがんの予防に対する理解及び関心を深めるための啓発を実施するものとする。
2 前項に規定する施策は、性別、年齢等に係る特定のがん及びその予防策に応じ、効果的に実施するものとする。
3 市は、受動喫煙が健康に及ぼす影響に関する知識の普及を図るとともに、受動喫煙の防止に必要な施策を実施するものとする。
(がんの早期発見の推進)
第11条 市は、国、県及び保健医療福祉関係者と連携し、がんの早期発見を推進するため、がん検診を受診しやすい環境の整備その他がん検診の受診率を向上させるための施策を実施するものとする。
2 市は、がんの早期発見を推進するため、国の指針及び最新の科学的知見を踏まえたがん検診を実施するものとする。
(女性特有のがん予防の推進)
第12条 市は、国、県及び保健医療福祉関係者と連携し、女性に特有のがん対策に資するよう、がんに罹患しやすい年齢を考慮したがんの予防に関する正しい知識の普及、女性に特有のがん検診の受診率の向上にむけた啓発その他必要な施策を推進するものとする。
(思春期及び若年成人のがん患者等への支援)
第13条 市は、国、県及び保健医療福祉関係者と連携し、思春期及び若年成人のがん患者等を取り巻く様々な問題に対して、相談支援及び情報提供等の充実を図るものとする。
(口腔管理の推進)
第14条 市は、医師及び歯科医師と連携し、がんの治療に伴う口腔合併症を予防し、又は軽減するため口腔ケアその他の支持療法等による口腔管理の推進を図るものとする。
(緩和ケアの充実)
第15条 市は、県及び保健医療福祉関係者と連携し、緩和ケアの更なる充実を図るよう努めるものとする。
(在宅医療の充実)
第16条 市は、県及び保健医療福祉関係者と連携し、がん患者等の意向を踏まえた上でがん患者が住み慣れた家庭又は地域において療養できるよう、在宅医療及び在宅介護の質の向上に努めるものとする。
(がん患者団体等に対する支援)
第17条 市は、県及び保健医療福祉関係者と連携し、がん患者団体その他関係団体が行うがん患者の療養生活の質の維持及び向上に資する活動並びにがんの予防及び早期発見を推進する活動を支援するものとする。
(がん登録等の推進への協力)
第18条 市は、がん登録等の推進に関する法律(平成25年法律第111号)の目的に沿って国、県等が行うがん登録等の推進のために必要な施策に協力するものとする。
(協議会)
第19条 本市における総合的ながん対策の推進の実施状況についての進捗管理及び評価については、藤枝市健康づくり推進協議会で審議するものとする。
(財政上の措置)
第20条 市は、がん対策に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。
(委任)
第21条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成31年4月1日から施行する。