【平成28年3月11日】    藤枝市における障害を理由とする差別を解消するための職員対応要領に係る留意事項   1 趣旨  この留意事項は、藤枝市における障害を理由とする差別を解消するための職員対応要領(平成28年3月11日藤枝市長決定。以下「対応要領」という。)第2条第2項及び第3条第2項の規定に基づき、必要な留意事項について定めるものとする。 2 本留意事項の対象職員  この留意事項の対象となる職員は、市長、議会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び公平委員会の事務部局に勤務する一般職の職員とする。 3 不当な差別的取扱いの基本的な考え方(対応要領第2条関係)  不当な差別的な取扱いとは、正当な理由なく、障害を理由として、障害のない人と比較して、区別したり、財・サービスや各種機会の提供を拒否したり、提供に当たって場所・時間帯などを制限したり、障害のない人に対しては付さない条件を付けることなどの異なる取扱いをすることであって、障害のある人の権利や利益を侵害するものである。  「障害を理由として」とは、障害を直接の理由とする場合と、障害そのものではないが、車いす等の福祉用具の利用や補助犬の同行その他の支援器具等の利用等のような障害に関連する事由を理由とする場合も含まれる。  なお、正当な理由があって、障害のある人とない人に、違う対応をした場合は、不当な差別的取扱いではない。例えば、障害のある人を障害でない人と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害のある人に対する合理的配慮の提供による障害でない人との異なる取扱いや、合理的配慮の提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害のある人に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取り扱いには当たらない。  このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害のある人を、問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障害でない人より不利に扱うことである点に留意する必要がある。 4 正当な理由の判断の視点(対応要領第2条関係)  障害のある人に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが、客観的に見て正当な目的の下に行われ、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合は正当な理由に相当する。  本市においては、正当な理由に相当するか否かについて、個別の事案ごとに、障害のある人、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等)等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。  職員は、正当な理由があると判断した場合には、障害のある人にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。   5 不当な差別的取扱いの具体例(対応要領第2条関係)  不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は以下のとおりである。なお、4で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなる。また、以下に記載されている具体例については、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、それらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。 (不当な差別的取扱いに当たり得る具体例) ○ 障害があることを理由に窓口対応や施設の利用等を拒否する。 ○ 障害があることを理由に対応を後回しにしたり、対応時間を限定させる。 ○ 身体障害者補助犬法に定める盲導犬等の身体障害者補助犬※の同伴を拒否する。 ○ 障害があることを理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。 ○ 障害があることを理由に説明会、シンポジウム等への出席を拒む。 ○ 事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害があることを理由に、来庁の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付ける。 ※「身体障害者補助犬」は、目や耳や手足に障害のある人の生活をお手伝いする「盲導犬」「聴導犬」「介助犬」のことをいう。 補助犬の同伴については、「身体障害者補助犬法」で、人が立ち入ることの出来る公共施設などさまざまな場所で受け入れるよう義務付けられている。 6 合理的配慮の基本的な考え方(対応要領第3条関係) (1) 合理的配慮とは 合理的配慮は、本市の事務・事業を行うに当たり、個々の場面において、障害のある人から、現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明が合った場合において、その実施に伴う負担が過重でないときに、障害のある人の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取り組みである。 (2) 意思の表明について 意思の表明は、手話を含む言語だけでなく、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りなどのコミュニケーション手段(通訳を介するものも含む。)により行われる。この意思の表明に当たっては、障害のある人本人が、障害の状態により自ら意思を表明することが困難な場合には、その家族、支援者等がコミュニケーションを補佐する人が本人を補佐して意思を表明することもあり得る。意思の表明がない場合であっても、社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合は、法の趣旨に照らし、自主的に適切に配慮することが望ましい。 (3) 環境整備との関係 合理的配慮を必要とする障害のある人が多数見込まれる場合、障害のある人との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供ではなく、事前の環境整備に努める。 (4) 委託との関係 本市がその事務又は事業の一環として実施する業務を事業者に委託等する場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生じることにより障害のある人が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、対応要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めることが望ましい。 7 過重な負担の基本的な考え方(対応要領第3条関係)  過重な負担については、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。  職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害のある人にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。 (1) 事務・事業への影響の程度(事務又は事業の目的、内容、機能を損なうか否か) (2) 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) (3) 費用・負担の程度 (4) 事務・事業規模 (5) 財政・財務状況 8 合理的配慮の具体例(対応要領第3条関係)  合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであるが、具体例としては、次のようなものがある。  なお、以下に記載されている事例については、過重な負担が存在しないことを前提としていること、また、これらはあくまで例示であり、記載されている具体例だけに限られるものでないことに留意する必要がある。 (1) 物理的環境への配慮 ○ 段差がある場合に、車椅子利用者にキャスター上げ等の補助をしたり、スロープを渡したりする。 ○ エレベーターがない施設の上下階に移動する際、人力で移動を手助けする。 ○ 車椅子利用者用などの低床カウンターが無い場合、代替できる場所に案内したり、椅子や稟議板を用意したり、聞き取り等の方法により書類の記入等を手助けする。 ○ 配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡す。パンフレット等の位置を分かりやすく教える。 ○ 目的の場所までの案内の際に、障害のある人の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後・左右・距離の位置取りについて、障害のある人の希望を聞いたりする。 ○ 障害の特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、会場の座席位置を扉付近にする。 ○ 疲労を感じやすい障害のある人から休憩の申出があった際に、臨時の休憩スペースを設けたりする。 ○ 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害のある人に対し、職員が押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。 (2) 意思疎通の配慮 ○ 筆談、読み上げ、手話、点字、拡大文字などのコミュニケーション手段を用いる。 ○ 会議資料等について、点字、拡大文字等で作成する際に、各々の媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。 ○ 意思疎通が不得意な障害のある人に対し、絵カード等を活用して意思を確認する。 ○ 受付や駐車場などで通常、口頭で行う案内を、紙にメモをして渡す。 ○ 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、わかりやすい記述で伝達したりする。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う。 ○ 比喩表現等が苦手な障害のある人に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに説明する。 ○ 知的障害のある人から申し出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24時間表記ではなく、午前・午後で表記するなどの配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。 (3) ルール・慣行の柔軟な変更 ○ 順番を待つことが苦手な障害のある人に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続順を入れ替える。 ○ 立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障害のある人の順番が来るまで別室や席を用意する。 ○ スクリーンや板書等がよく見えるように、スクリーンの近い席を確保する。 ○ 障害のある人も利用できる環境を用意する。 ○ 車両乗降場所を施設出入口に近い場所へ変更する。 ○ 市の敷地内の駐車場等において、障害のある人の来庁が多数見込まれる場合、通常、障害者専用とされていない区画を障害者専用の区画に変更する。 ○ 施設や会場への入館・入場時に正規のゲートを通過することが困難な場合、別ルートからの入館・入場を認める。 ○ 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声等がある場合、当該障害のある人に説明の上、施設の状況に応じて別室などのスペースを準備する。 ○ 非公表又は未公表情報を扱う会議等において、情報管理に係る担保が得られることを前提に、障害のある委員の理解を援助する者の同席を認める。