文芸(俳句・短歌・川柳)部門

俳句部門

市長賞

吉田勝郎

爽やかや今日のこと今日なしとげて

審査員講評

今日のことは今日なしとげて夜は熟睡する。翌朝の目覚めもすっきり。望ましいあけくれが爽涼の気とともに伝わってくる。日常使う言葉だけに俳句にするのは難しい秋の季語を、力みなく生活のリズムに引きつけ、まことに爽やか。

教育長賞

鈴木啓造

脱藩の獣道あり青葉騒

審査員講評

江戸の脱藩といえば浦上玉堂や坂本龍馬を思う。とまれ宮仕えの人間が野に生きる覚悟は半端ではない。脱藩、即、餌付けされない一種の獣になること。山道のむせるような青葉の照りが迫る。力強いいきおいを味わいたい。

実行委員長賞

増田弥生

朝粥の膜うつすらと緑雨かな

審査員講評

新緑をぬらす朝の雨に、ゆっくりと炊いた白粥。それだけでも美しいのに、さらに粥の上にうっすらとかかる半透明の膜。青葉寒のなかに繊細な感性が透きとおる。眼耳鼻舌身意のみごとな共感覚の交響である。しかも静謐。

文化賞

冨永孝江:久米仙人落ちて来そうな夕涼

大石みどり:ゴジラてふ新たな星座文化の日

岡田信行:父の日の自分に贈る靴を買う

鈴木みちゑ:日とろとろ雀がくれの古墳山

岩本あやこ:露天湯の柚子のお手玉遊びかな

奨励賞

井上哲子:神木の根廻り覆ふ苔の花

大石子秀:子等帰り背くらべの跡蝉時雨

大石俊彦:原爆忌子等のえがきし人模様

一瀬京子:再生の水晶体よサンドレス

青島寿子:青空の片隅借りて大根干す

小塩洋子:夏の恋大海原へ駆けくらべ

加藤はな野:ほうたるや突如夫は星となり

審査員

恩田侑布子(「樸(あらき)俳句会代表、第23回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞、平成28年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞、第72回現代俳句協会賞受賞)

短歌部門

市長賞

杉本なお

鳴きごゑの遠く近くに降るあしたヤマボウシの実が食べごろですよ

審査員講評

「鳴きごゑ」は百舌とか鵯とかいう鳥の鳴き声でしょうか。秋の訪れ、深まりを鳥の鳴き声の遠近で知るというのです。作者はこうして鳥に語り掛けることで、鳥と心を通わせ、秋の静けさ、豊けさと一体化してゆくのです。

教育長賞

杉本弘子

構内に馴染みのこゑの流れくる行先案内ふたたび三度

審査員講評

「構内」とあり、「行先案内」とありますから、電車などの駅を思いました。知らない人の声ですと聞き流してしまうのですが、「馴染みのこゑ」ですので、耳に留まったのです。人間の耳と心の不思議を鋭く捉えました。

実行委員長賞

原田綾子

「辛抱」は父母の授けしものなれどわれの「心棒」折れやすくあり

審査員講評

「辛抱」と「心棒」の対比が面白い作品です。一種の言葉遊びですが、和歌の掛詞に通じているでしょう。リズムのよさが光りますが、内容にも真実味があり、読者まで巻き込んでゆく力を感じさせる作品でもあります。

文化賞

川崎猛二:斯く薄く柔き翅にて二千粁を飛ばむといふか浅黄斑は

大石きよ:露の世にまだ少しいて畑起す涼しくなれば大根蒔こうか

奨励賞

杉村和子:花びらは流れて蕊は地に降りる無数の芯は無心にあらず

岡冴子:返納してバス乗車券貰ひたり何処かに行かうどこに行かうか

青野峯子:夏に向け不自由な夫に快き足首ゆるめのソックスさがす

鈴木方枝:花の下あゆむ人影いづこへか消えてゆきたり遠景のなか

審査員

柴田典昭(静岡県歌人協会会長)

川柳部門

課題:「すくすく」

市長賞

遠藤そら

産土(うぶすな)に未来を願う初参り

審査員講評

産土に未来を願うという句語から、すくすくと育って欲しいと願う親の姿がほのぼのと伝わってきました。産まれた土地の神様に守られて成長していく子供は次世代をつなぐ大切な宝ですね。

教育長賞

松井のぶ

制服をつんつるてんにして翔る

審査員講評

伸び盛りで制服が小さくなってしまいました。つんつるてんにして翔るがとても躍動感のある句にしています。身も心も健やかに成長している様子が浮かんできます。きっと大きな夢を持って頑張っているのでしょう。

実行委員長賞

迫寛之

躍進の勝ち星重ね光る棋士

審査員講評

次々と記録を塗り替え、めざましい勢いで躍進している藤井七段の事でしょうか。光る棋士そのものですネ。将棋を知らなくても声援を送りたくなってしまいます。若干十七歳の彼がどこまで伸びていくのか楽しみです。

文化賞

菊川信男:麦畑踏まれた恩を忘れまい

奨励賞

井上みな:胎動未来を夢み母となる

審査員

山田とく子(浜松川柳社いしころ会所属・静岡県川柳協会理事)

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更新日:2019年11月08日