文芸(俳句・短歌・川柳)部門

俳句部門

市長賞

加用富夫

ひたすらに奉仕奉仕と法師蝉

審査員講評

その昔、夏休みの尽きる頃、「法師蝉」の声にて、身辺の急を実感したことを忘れない。
この句は「法師蝉」の、その声を「奉仕奉仕」と受け止めた点が面白い。
俳句=挨拶・即興・滑稽(山本健吉)の由。
しかし、現代俳句にこの滑稽句が減少のことを危惧する。

教育長賞

藤田岳洋

新築の槌音白し涼新た

審査員講評

早朝より「新築」現場に響く「槌音」は、喜びにあふれる「槌」の「音」である。 作者は、その「音」に祝意を込め「白し」と言い切ったのが非凡。 「白し」の白秋は、「五行説で白を秋に配する」とあるが、「涼新た」に「槌音白し」がヒットし功を奏している。

実行委員長賞

野仲とも子

矍鑠としてうすものの嫗かな

審査員講評

今まさに長寿の時代、そんなご時世に登場の「うすものの嫗」の所作(居住まい・佇まい)に注目の風姿が彷彿とする。
世の中から粋が消えたのは、着物姿が消えたため、と喝破した御仁があったが納得しつつ共鳴。
粋の復活は着物姿の復活に尽きる。

文化賞

松井芳朗:縁台に時を忘れて天の川
大石野菊:新涼や老の命の蘇る
村野芳子:河鹿笛水音消してしまひけり
加藤はな野:文豪の天城路深し山滴る
岡村規子:定位置にいまも置く杖魂祭

奨励賞

杉本弘子:水底に大き影曳き水馬
望月孝子:電柱の影につまづく大暑かな
塚本良子:空蝉や路傍の石を縁とす
櫻井高子:菜園に笑顔はじける大西瓜

堀田敏男:虫の音の途切れて二胡の調べかな
冨永孝江:煌煌と灯る明かりや敗戦忌
大石みどり:守一の猫のまどろむ小春かな

審査員

島村正(俳誌「宇宙」主宰・静岡市民俳句大会実行委員長・朝日テレビカルチャー俳句講師)

短歌部門

市長賞

諏訪とし江

寒空に電線が鳴る山峡に老いらを待てる日溜りの椅子

審査員講評

農村の過疎化が言われて久しい。
行動範囲の限られた老いのコミュニケーションの場であろうか。
誰かが置いて呉れた椅子、ひとりふたりと集まってくる日溜りの椅子、老い達のささやかな場にやさしさがあり、そのぬくもりの場が象徴的である。

教育長賞

原田綾子

スタンドの灯りに浮かぶ皴の手にまだまだ託すこれからのあり

審査員講評

ほっとした時間であろうか、スタンドの灯明りにしみじみと眺めている手、啄木の歌を思い出す切り口だが、人生を切り拓いて来たその手を眺めて、まだまだこれ丈では終われないという前向きな姿勢。
同世代の人達には共感度の高い詠みとなっている。

実行委員長賞

青野てる子
早朝に少し涼しさ感じたり白菜植えぬと身体が動く

審査員講評

この夏の猛暑は例年にない厳しいものであったが、作者は農作業に携わっているのであろうか。
涼気だつ朝の体の動きというものを、結句「身体が動く」と作者ならではの実感で卆直に表出している。
この切り口にリアリティ感がありいい歌にしている。

文化賞

遠藤絹代:夏虫といふ色の名を覚えたり迷はず選んだブラウスの色
北泊あけみ:休みなく餌はこびくる親燕テレビは五歳の虐待死つぐ

奨励賞

川崎猛二:婆の田は婆亡き後も穂を垂れて赤と銀のテープ縦横
杉本なお:燭台のあかりのもとに鳴りにけむ博物館の古きオルガン
槙悠子:羽音高く飛ぶ熊ん蜂の朝の畑南瓜の交配君が頼りだ
平松利支:見舞ひたる病ひ篤きを思ふ夜の赤芽柏に雨降りしきる

審査員

定石栄(「文芸やいづ」短歌選者・静岡県歌人協会名誉会員)

川柳部門

課題:「仲間」

市長賞

菊川信男
顔の無い仲間スマホに屯する

審査員講評

バスの中でも街行く人も、スマホ片手に下を向いています。
SNSやラインやら、顔が見えない中での触れ合いに恐ろしさを覚えます。
スマホに屯するがとても効いています。
相手の目を見て会話をしたいですね。

教育長賞

垣屋ひろみ
磨き合い尖った石も円くなる

審査員講評

切磋琢磨してお互いに頑張っていた頃は、尖っていたが、年月を重ねた今ではすっかり丸くなって、互いに健闘をたたえ合うことが出来る。
人間が出来てきた証拠でしょうか。

実行委員長賞

遠藤そら
群れたがる仲間意識を持て余す

審査員講評

仲間だからと集団行動をしようとする人が多いです。
特に女性の場合にそのような傾向が見受けられます。
意見が合わず面倒に思うこともあります。
仲間意識を持て余すに感情が出ています。
目の付けどころがいいです。

文化賞

迫寛之:詐欺仲間あの手この手の荒稼ぎ

奨励賞

川井ふみ:被災者の仲間意識が街を変え

審査員

山田とく子(浜松川柳社いしころ会所属・静岡県川柳協会理事)

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更新日:2018年11月12日