○藤枝市地産地消の推進に関する条例

平成27年12月28日

条例第47号

藤枝市は、豊かな自然と温暖な気候に恵まれ、大井川の扇状地と瀬戸川、葉梨川及び朝比奈川の源流があり、それぞれから水の恩恵を受け、肥沃で平坦な農地では米を中心に野菜、花き等を栽培し、山間部ではお茶、柑橘をはじめ多くの農産物を生産している。

このような自然環境の中で生産される農産物が生産者の顔が見える形で消費者に届けられることは、「食」の安全性や信頼性を高め、ひいては食文化の向上と食育の推進につながるものである。

そして、農業が持っている豊かな自然環境保全の役割の重要性を再認識するとともに、都市住民と農村の交流を通じて、身近で生産される農産物をできるだけ、地元で消費する仕組みをつくりながら、地域農業を守っていくことが必要である。

ここに、市、生産者、消費者及び事業者が一体となって地産地消を推進し、持続的な藤枝市の農業と市民の健康的な生活を築いていくために、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、地産地消を推進するに当たり、その基本理念を定め、市、生産者、消費者及び事業者の役割を明らかにし、安全で安心な農産物の安定した生産及び供給並びに食育との連携を図ることにより、本市の特色ある農業の持続的な発展及び健康的で豊かな市民生活の実現に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 地産地消 市内農産物等を市内で消費することをいう。

(2) 農産物等 農産物及びその加工品をいう。

(3) 市内農産物等 農産物等のうち市内で生産され、又は加工されたものをいう。

(4) 事業者 市内で農産物の製造、加工、流通若しくは販売又は飲食の提供を業として行う者をいう。

(基本理念)

第3条 地産地消の推進は、市、生産者、消費者及び事業者が連携し、本市の農業及び市内農産物等の情報を共有しつつ、互いの立場を理解し、協力しながら行うものとする。

2 地産地消の推進は、市内農産物等の生産から販売までの過程において、安全で安心な農産物等を消費者に供給することができる仕組みを構築することにより、地域農業の振興が図られるよう努めるものとする。

3 地産地消の推進は、生産者及びその後継者が、誇り、生きがい、喜び等を持って農業に取り組めるようにし、本市の農業に関する地域資源を活用して、農業及び農村の活性化が図られるよう行うものとする。

4 地産地消の推進は、市民一人一人に食の重要性が理解されるとともに、家庭においては健康的で豊かな食生活の維持向上が図られ、地域においては地域の食文化が継承され、発展していくよう行うものとする。

5 地産地消の推進は、市民の意見及び評価を取り入れながら市が施策として取り組むほか、市民の間での自発的な取組を促進しながら行うものとする。

(市の役割)

第4条 市は、前条の基本理念に基づき、生産者、消費者及び事業者と連携して、地産地消の推進に関する施策を実施するものとする。

(生産者の役割)

第5条 生産者は、農産物等の安全性に関する法令を遵守するとともに、生産する農産物等が市民の健康を支えていること及び農産物等の安全性について責任を有することを自覚し、農産物等の安全性の確保に取り組むものとする。

2 生産者は、農産物等に対する消費者の意向を把握するとともに、生産する農産物等の品質等に関する情報を消費者に提供するよう努めるものとする。

3 生産者は、市が実施する地産地消の推進に関する施策に協力するものとする。

(消費者の役割)

第6条 消費者は、生産者の農産物等に対する安全性を確保するための取組を理解するとともに、市内農産物等を優先して消費するよう努めるものとする。

2 消費者は、食の大切さを理解し、健康的で豊かな食生活の維持向上に努めるものとする。

3 消費者は、市が実施する地産地消の推進に関する施策に協力するものとする。

(事業者の役割)

第7条 事業者は、生産者及び消費者と連携して地産地消の推進に取り組み、市が実施する地産地消の推進に関する施策に協力するものとする。

(地産地消の推進に関する啓発活動)

第8条 市は、地産地消の推進に対する市民の関心を高め、理解を深めるとともに、市民の地産地消の推進に関する活動を行う意欲を増進するための啓発活動、情報の提供その他必要な施策を実施するものとする。

(生産者、消費者及び事業者の情報の共有等)

第9条 市は、生産者、消費者及び事業者が地産地消に関する情報の共有及び相互理解を進めていくための必要な施策を実施するものとする。

(市の施設における市内農産物等の優先使用)

第10条 市は、学校、保育所その他市の施設において給食その他食の提供を行うときは、市内農産物等を優先的に使用するよう努めるものとする。

(農業資源を活用した施策)

第11条 市は、農業の振興及び活性化を図るため、農業に関する地域資源を活用することにより、生産者、消費者及び事業者相互の交流その他の農業及び市内農産物等に対する理解を深めるために必要な施策を実施するものとする。

(食育との連携)

第12条 市は、地産地消の推進に当たっては、市民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むことができるよう、家庭、学校、地域等における食育の推進のための必要な施策との連携を図るものとする。

(地産地消推進計画)

第13条 市は、地産地消に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、関係機関と連携し、地産地消推進計画を策定するものとする。

(推進体制)

第14条 市は、地産地消の推進に資するための組織を置くものとする。

2 前項の組織及びその運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(財政上の措置)

第15条 市は、この条例の目的を達成するため、必要な財政上の措置を講じるよう努めるものとする。

(委任)

第16条 この条例の施行について必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

藤枝市地産地消の推進に関する条例

平成27年12月28日 条例第47号

(平成27年12月28日施行)