黒犬

更新日:2018年10月08日

(イラスト)黒犬1
(イラスト)黒犬2

昔、鬼岩寺にクロというとても強い犬がいました。それを聞いた田中城のお殿様は、自分の自慢の犬シロと噛み合いをさせてシロの強さを見せびらかしたくなりました。いざ噛み合いをさせてみると、クロのそれはそれは強いこと、あっという間に勝負がつきました。愛犬のシロが負けた悔しさに、お殿様はクロを捕まえて打ち首にするように家来たちに命じました。何十人もの槍や刀を持った侍に追いつめられたクロは、逃げ場を失ってとうとう近くにあった井戸の中に身を投げてしまいました。そのとき、井戸の中から黒い煙がもうもうと立ち上がり、それが何百何千という黒犬となっていっせいに吠えたてました。気味悪くなったお殿様は家来を連れて急いでお城に逃げ帰ってしまいました。お寺では、クロの霊を慰めるために、黒犬神社を造ってまつりました。
なお、この話には異説があります。犬に噛み合いをさせようとしたのは田中城のお殿様ではなく、土佐守という殿様でした。噛み合いになる直前に、遠州の春野からたくさんの犬たちがクロを助けようと鬼岩寺に集まって吠えたてたので、土佐守の土佐犬はしょんぼりしてしまって戦いにならなかったというものです。 

(イラスト)黒犬3
(イラスト)黒犬4

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